肉体派ライターのブログ

心霊探検家、怪談作家の濱幸成が、心霊スポット、怪談、釣り、東南アジア(特にフィリピン)等について書いていきます。恐怖体験、心霊写真&動画など随時募集しております。 【メール→ shinrei.hama@gmail.com】 Japanese Ghost Hunter Yukinari Hama,Japan Haunted Place【contact →shinrei.hama@gmail.com】

フィリピンのマニラでひったくり被害

 初めてフィリピンに行った時のこと。

 僕の古い友人である恭介は当時すでにフィリピン滞在歴一年ほどで、ある程度の英語での日常会話もでき、信頼できるフィリピン人の友人も多かったためにガイドをしてもらおうと、たまたま日本に帰ってきていた恭介と、恭介の弟と一緒に3人でフィリピンに渡ることになった。

 元々日本でプロボクサーをやっていた恭介は20代半ばで引退し、次はフィリピンで選手の育成とマネージメントをするために、マニラとバギオに2カ所の拠点を持つ有力ボクシングマネージャー兼プロモーターの元で修行に励んでいた。しかし、選手が育つまではファイトマネーが入ってこないために、出費がかさむばかりで常に赤字の状態だった。

 そこで、自分でバーを経営し、そこから資金を得ながらボクシングマネージャーをやって行こうと決意し、一度日本に帰国して大量の現金を下ろしてから僕と恭介の弟と一緒にマニラへと向かった。

 

 初日はマニラの「アベニーダ」という地区にあるボクサーたちが寝泊まりしているマンションに寝泊まりさせてもらうことになり、荷物を置いた僕と恭介は早速近くの飲み屋へと出向いた。

 アベニーダという地区はフィリピンでも有名なスラムである『トンド』のすぐ近くにあり、決して治安がいいとは言えないものの、すでに何度も周辺の店で飲んでいる恭介は一度も危険な目にはあったことがなく、軽い気持ちで数件梯子してマンションへと戻った。

 

 翌日、日中は恭介と弟はボクシングジムに行き、僕はマンションで書き物をして時間を過ごし、21時ごろに恭介達のもう一つの拠点があるバギオに向かうために、荷物を持って部屋を出た。

 大量の荷物を持った日本人が夜に出歩くのは危険なため、フィリピン人ボクサーが3人護衛について計6人で僕たちはバスターミナルに向かって歩き出した。

 そして、マンションから数十mほど歩いたところで急に二人乗りのバイクが僕たちの間を割く形で突っ込んできた。バイクは軽く恭介に接触し、ドライバーはぶっきらぼうに呟いた。

「ソーリー、ボス」

 バイクはすぐにその場で方向転換し、クラクションを鳴らすと同時に、自分たちが通ってきた僕たちの間に向かってフルアクセルで突っ込んできた。その瞬間、バイクの後ろに乗っていた奴が恭介が手に持っていたハンドバックを引ったくり、あっという間に姿は見えなくなった。 

 ハンドバックの中には大量の現金と、ノートパソコン二台、iPhoneとクレジットカードが入っていた。

 すぐに最寄りの警察署に駆け込み状況を説明して、事件現場近くにあった監視カメラを確認してもらったところ、犯人2人が数十分前からマンション近くで待ち伏せていた映像が残っていたため、警察は「絶対にあなたたちの中に犯人の仲間がいて、そいつがバイクの二人組と組んで犯行を指示している」と言ってきかない。恭介は仲間のことを信用していたので「それはない」と言い張っていたが、警察は聞く耳を持たず、1人1人別室に呼んで取り調べを開始。尋問と携帯電話のチェックをしていったが、結局犯人と繋がりがありそうな人物は見つけることができなかった。

 そして、現在事件から約2年が経つが、もちろん犯人は見つかっていない。

 

 これはあくまで推測だが、フィリピン初日の夜に僕達が飲み歩いているところを犯行グループに見られ、後を付けられてマンションを特定され、その翌日に犯行に及んだのではないかと考えている。

 しかし、僕達が荷物を全て持って移動するほんの数十分前からマンション近くで待ち伏せしていたタイミングの良さを考えると、警察の言う通り、ボクシング仲間に内通者がいたのではいう考えも頭をよぎってしまう・・・